あまりにも虚しく、 痛ましく、 悲しきその世界に、
しばし唖然とするしかなかった、 この己の無力さ。
◆ 『 麦の穂をゆらす風 』 2006年 アイルランド/イギリス

なにゆえに、 争わねばならないのか。
なにゆえに、 人と人は殺しあわねばならないのか。
悲劇は、惨劇は、
個人の心が「戦争」や「紛争」に一歩でも踏み込んだとたんに起こりうるのに。

どうして引き返せないのか。
報復を繰り返すことに何の意味があるのか。
かけがえのない人を犠牲にしてまで。

目を奪われるほどに深く、 鮮やかな、 その草木の、 緑。
あまりにも人間の存在を小さく感じさせるほどの、 その広大なる、 大地。
しかし果たしてなにゆえに、そうならなければならなかったのか ・・・・。

全身が硬直してしまうほどの、素晴らしい映画でした。
見終えたあと、しばらく何事にも手をつけられなかった・・・・。
しかし、私はむしろ、この映画が作られたことに感謝しなければなりません。
映画表現に魂を投入するかのような、ケン・ローチという監督の思想に感動です。
大人たちは未来のために、ここから多くのことを学ばねばならないと思います。
作品の原題は『The Wind That Shakes The Barley』ですが、
これはアイルランド古謡のタイトルで、劇中でも歌われます。印象的です。
マーティン・カーシーなどもカヴァーしていたかと思います。
また、収容所での場面で、「拷問される仲間」を必死に励まさんばかりに、
同志たちが、牢獄の中で突発的に合唱を始めるシーンがありました。
自分はこれぞ、人々にとっての真の意味での「歌」なのだと、
もはや涙が止まりませんでした。
本来、「歌」というのは、民衆にとってこういう存在であるはずなのです。
自分の書いた曲に、PONYの「悲しき二等兵」というのがありますが、
あれに対して何か少しでも思うところのあった方には、恐縮ながら、
ぜひ見て頂きたい映画だなと思いました。
あの曲を書いたのはもう4〜5年も前のことでしたが、
このたび拝見したこの映画の中には、
------ 実に不思議な感触だったのですが、
曲を書いていた当時の自分の想いを、
確実に反映している場面、 そして情景が、 ありました。

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